望郷
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物語への、憧憬ーー 幻想譚、恋愛小説、SF、怪奇小説、そして、のじゃロリ狐ババア。 ねじれにねじれた渇望の末、自身が物語であると自覚する七つの短編。 第二十三回文学フリマ東京にて頒布された、文芸同人:ねじれ双角錐群による小説誌の創刊号。B6版 156ページ。
収録作品
01「物語のない部屋」 石井僚一 ――ねぇ。どこかから声がする。 私は同人誌を出そうと誘われて物語を書きはじめる。ところで物語ってなんだろう? 問いは物語を、物語は現実を示して、そう、このお話は最後の物語と最初の物語の間に生じた小さな声。 02「新しい動物」 小林貫 全生活史健忘の男と得体の知れない魚頭人身の女。希望と不安、秩序と混沌――すべてが混ざり合う白い街で、行き着いた果てに二人が見出す新しい世界とは。著者処女作となるスペキュレイティブ・フィクション。 03「二色の狐面」 笹帽子 僕の父は陰陽師だ。妖怪変化、魑魅魍魎の類を退治して金を取る、職業陰陽師である。職業陰陽師って流石に何だよ。父の妖狐退治に手を貸した僕は、妖狐に魅せられてしまう。もふ尻尾のじゃロリ狐ババア短編。 04「組木仕掛けの彼は誰」 cydonianbanana 外界を言葉としてしか認識できない病に冒されたぼくは、AR故人《島崎藤村》β版のデバッグのため温泉旅館に逗留し、そこで奇妙な失踪事件に巻き込まれる。きみとぼくと《島崎藤村》が織りなす湯けむりSF幻想譚。 05「ユゴスに潜むもの」 伊川清三 近未来、冥王星探査に降り立った三人の宇宙飛行士。探査チームの隊長は、無名の谷の奥底に「都市」を発見した! 奇妙な都市の探索に向かった彼らが体験した出来事とは? 06「香織」 国戸シャーベット 「だから僕たちはキスをいつも虹の一番高いところで済ませた」――ジャスミンの香水を愛用する香織と僕の青春の日々。読書、遊園地、ファミレス――僕たちの先にあるのは一体? どこまでも甘く、ピュアな恋愛小説。 07「器官を失ったスピンドルの形」 全自動ムー大陸 寓意だらけの丘で向日葵の海が揺れている。物語以前の不明の中で、彼らがはじめからどこにもない約束を果たしあうことができたのならば、どんな種類の光であってもその駆け出す一歩を祝福するに違いない。